FIELD GUIDE / VCB

VCB点検を、
4つの役割から読み解く。

絶縁・真空バルブ・主回路抵抗・開閉動作・保護連動。何を測り、何までは分からないのかを図で整理します。

原理から理解する・現場準備の教材

機器の詳細型式と適用手順が未確定のため、機種固有の試験電圧・時間・判定値は未設定です。実作業は責任者の作業計画、適用規程、最新取説を用います。

「入る・切れる」だけでは、点検は終わらない。

VCBの点検は、通す・隔てる・動かす・連動するの4つに分けると理解できます。

通す・隔てる

閉じた主接点は電流を小さな損失で通す。開いた真空バルブは接点間を絶縁し、支持物は相間・対地を絶縁します。

動かす・連動する

操作機構が接点を確実に動かし、制御回路が正しく指令を伝える。保護継電器からの引外しまで含めるかで試験範囲が変わります。

現場名を含めない共通教材です。遮断器のメーカー・完全型式・定格・操作電源・引出形/固定形・機構の取説を確認して、現場用の試験項目へ落とし込みます。

同じVCBでも、測る場所は違う。

1極を抜き出した模式図です。相間試験では別の極が相手になります。実際の接地・短絡・端子指定はメーカー取説の試験結線図を使います。

試験項目を「目的」で分類する。

項目確かめること結果だけで言えないこと
外観・履歴絶縁物の汚損、割れ、変色、緩みの兆候、機構状態、回数・事故履歴見た目がきれいでも内部・機構が健全とは限らない
絶縁抵抗指定した対地・相間・接点間等のDCでの絶縁状態メガーの良好値だけで真空性能や遮断能力は保証できない
主回路耐電圧/真空度確認メーカーが指定する箇所・電圧条件での耐電圧性能主回路全体の試験と、開いた真空バルブ接点間の確認を同一にしない
主回路抵抗閉路した電流経路の抵抗測定端子によりバルブだけでなく接続部も含む。一般のテスターの導通表示とは違う
開閉動作・時間・三相のそろい指令から接点の開閉までと各極の差試験器の開始・停止条件、操作電圧が違うと単純比較できない
投入・引外し回路コイル、電源、補助接点、機構の動き単体操作が良好でも継電器からの連動経路は未確認
インターロック・連動誤操作防止機能と指定された保護の動作範囲バイパスして動けば良いわけではない
真空度試験は「圧力を測る」試験?

耐電圧法による確認は、真空バルブの絶縁性能を利用した間接的な確認です。内部の圧力を数値で直接測ることとは異なります。試験のAC/DC、電圧、時間、極の状態は機種指定に従います。高電圧の過大印加には機器損傷やX線等の問題があり、指定値を勝手に上げません。

接触抵抗と絶縁抵抗、良いのはどちら?

主回路抵抗は電流を通す道なので小さいことが望ましく、絶縁抵抗は通したくない道なので大きいことが望まれます。前者は通常μΩ~mΩを扱う領域、後者はMΩ等を扱う領域です。レンジも原理も判定も違います。

主回路抵抗はなぜ4端子で測る?

電流を流す線と、電圧降下を読む線を分け、リード・接続の抵抗が測定値へ及ぼす影響を抑えます。R=V/Iで求めますが、測定電流と端子位置は機種と試験器の指定を確認します。低抵抗測定を一般のブザー導通試験で代用しません。

機種を確定してから、点検計画へ。

  1. 資料と履歴をそろえる完全型式、製造番号、定格、操作電源、前回値、開閉回数、事故遮断歴、更新・保守情報を照合する。
  2. 点検範囲と停止条件を決めるVCB単体か盤を含むか、単体動作か保護連動かを区別する。対象回路、他電源、制御電源、接地・インターロックを操作票で確認する。
  3. 電気と機械のエネルギーを管理主回路の無電圧だけでなく、操作電源、蓄勢ばね、自動蓄勢、引出部の機械動作も管理する。ばねの処置は取説指定に従う。
  4. 外観・機構を点検指定箇所の清掃・点検を実施。勝手な分解、トルク、注油、接点研磨をしない。整備が必要なら指定の作業範囲と担当を確認する。
  5. 承認済み項目を測定対象端子、開閉状態、操作電圧、温湿度、試験器条件を記録。単体と連動、主回路と制御回路を混同しない。
  6. 判定と復旧確認取説基準・前回値・相間差を確認。測定のための変更を記録に沿って復旧し、責任者による所定の確認を経て引渡す。

違和感を、原因の候補に分ける。

見えた結果まず分けること記録する条件
1相だけ主回路抵抗が高い端子接触・測定位置・接続部・主接点の区別電流、測定点、相別値、再確認前後
3相とも絶縁抵抗が低い湿気・汚損・接続機器・試験範囲・測定条件切離し範囲、天候、温湿度、測定時間
引外し時間が長い操作電圧、計時条件、機構、回路の電圧降下コイル端子電圧を含む指定測定条件、単体/連動
操作はできるが保持しないラッチ・操作条件・機構の機種固有不具合型式、設置環境、過去の注油・整備履歴
単体は動くが連動しない継電器接点から引外しまでの回路範囲制御電源、補助接点、端子、試験モードの状態
「どこでも注油」は逆効果になる

三菱電機のVF・VPRの一部では、無潤滑軸受への注油に関する注意情報が出ています。清掃・潤滑は機種指定の箇所・材料・量で実施する作業です。他機種へ特定の潤滑剤や対処を流用しません。

ワイプ・接点消耗は全機種で測る?

確認方法は機種次第です。例として三菱VPR-Dの資料では、電極消耗が少なく負荷開閉回数で判定できるため、点検時のワイプ測定は不要とされています。この例を別型式へ広げず、実機の点検表を使います。

相別の値と、試験した範囲を残す。

機器番号・メーカー・完全型式・製番:____

定格/操作電源/機構/回数/前回記録:____

適用取説・版・点検表・承認条件:____

試験器・校正状態・温湿度・開閉状態・切離し範囲:____

測定項目:____ R相:____ S相:____ T相:____

単体/連動・計時開始/停止・印加条件:____

判定基準の出典:____ 異常・処置・復旧確認:____

数値の単位(MΩ・μΩ・ms・V)を省略しません。前回値と比較するときは同じ試験条件かを確認します。

機種別資料に戻れる入口。

ここで紹介したメーカー例は、現場のVCBが三菱製であることを意味しません。機種確定後に該当メーカーの資料と照合します。

つながる教材