FIELD GUIDE / CAL

計器校正を、
「ずれ」と「確かさ」で理解する。

標準器との比較、誤差、%rdg・%f.s.、不確かさ、CT・VTの測定範囲まで。校正を数字の意味から学びます。

原理から理解する・現場準備の教材

機器の詳細型式と適用手順が未確定のため、機種固有の試験電圧・時間・判定値は未設定です。実作業は責任者の作業計画、適用規程、最新取説を用います。

校正は「ずれを知る」。調整は「ずれを直す」。

標準が示す値と、計器の指示を比べる。
条件と不確かさも含めて、その計器の値を説明できるようにします。

校正

標準との関係を明らかにして記録すること。校正証明書があるだけで、すべての用途・範囲に合格とは限りません。

調整・検証

調整は指示特性を変える作業。検証・適合判定は、決めた要求に合っているかの確認。調整前と調整後の校正結果を区別します。

可搬計器(テスター・クランプ・絶縁抵抗計など)と、盤面計器(CT/VT二次入力の電流計・電圧計など)は、標準の作り方と測定範囲が違います。

毎月の器具点検と、校正を分けて管理する。

点検の周期と校正の周期は、同じとは限りません。
「法令」「メーカー推奨」「社内規程」のどれで決まったかを残します。

器具月次点検で整理する項目例周期の扱い
ET-5(接地抵抗計)外観・リード・電池、指定方法での動作、承認した標準抵抗との比較毎月点検という運用情報あり。社内規程本文・許容差は未確認
IR4052(絶縁抵抗計)使用する電圧レンジごとの指示、適合する標準高抵抗、出力性能は別項目月次の簡易確認を、全項目のメーカー校正と同一視しない
DI-05N(高電圧絶縁抵抗計)高電圧用リード・プローブ、使用レンジ、対応する高抵抗標準高電圧に適合した治具と承認手順が必要
クランプメーター外観・ジョー閉口、ゼロ、既知電流、周波数と導体位置6か月との記憶は、現時点では未確認。社内管理表を照合
放射温度計光学系、測定距離・測定径、放射率設定、黒体等との比較6か月との記憶は、現時点では未確認。室温との比較だけでは校正にならない

これらの器具を一律に「法令で毎月」「法令で6か月」とする根拠は、今回確認した資料では確定できませんでした。適用業務の規程と社内の計測器管理規程を確認してから周期を確定します。防具の安衛則第351条の6月を、計器へそのまま移しません。

DI-05N:点検を頼めば校正書類も出る?

メーカーは総合点検と校正データ試験を区別しています。必要な書類・測定点・修理前後の値は依頼前に指定し、付属コードの扱いも取説で確認します。

ムサシインテック DI-05N/DI-06 取扱説明書
IR4052:製造番号でメーカーのお知らせも確認

IR4052シリーズの一部製品について、メーカーが点検・校正の案内を掲載しています。全製品が対象という意味ではありません。使用器の詳細型式・製造番号を公式の対象一覧と照合してください。

HIOKI:絶縁抵抗計の点検・校正に関するお知らせ

標準を与える/標準と比べる。

原理図です。標準器の電圧・電流・抵抗の定格、測定器の端子、周波数、極性、試験接続は個別の手順で確認します。

数字を読む前に、言葉をそろえる。

用語意味混同しないもの
標準値・参照値校正で比較の基準とする値。標準器の補正等が必要なことがある発生器の設定表示を無条件に真の値とはしない
指示誤差指示値 − 参照値指示を補正する値は、基本的に誤差と逆符号
% of reading(rdg)読み値を分母にする仕様表現。メーカー式を確認% of full scale(f.s.)とは違う
% of full scale(f.s.)仕様が指定するフルスケールに対する割合現在の測定値を分母にしない
digit/count最小表示単位の何カウント分か単に何桁表示の計器か、ではない
不確かさ測定結果に付随する、値のばらつきに関する評価誤差そのものでも、必ず含まれる最大誤差でもない
トレーサビリティ不確かさを伴う、文書化された校正の連鎖証明書のロゴだけで対象量・範囲が全部カバーされるわけではない

数値例を動かす:同じずれでも、割合は違う。

教育用の計算です。校正証明書や合否判定は発行しません。参照値・指示値・フルスケールは同じ単位にそろえます。

この欄の相対誤差は「誤差÷参照値×100」です。メーカー確度式の「%rdg」の分母・算出条件を置き換えるものではありません。

±(0.5%rdg + 2dgt)を読む例

読み値100.0V、最小表示0.1Vなら、この架空の仕様式による許容幅は、100.0×0.005+2×0.1=0.7Vです。2dgtは0.2V。実機ではレンジ・周波数・温度・保証期間などの適用条件も照合します。この例の数字は特定の計器の性能値ではありません。

不確かさがあると、境界の合否はどう考える?

例えば許容幅±1.0、誤差+0.8、拡張不確かさ0.3なら、誤差だけでは範囲内でも、評価区間は上側1.1まで広がります。直ちに合格/不合格と決めず、合意した判定ルールで扱います。ガードバンドを使うか等を試験後に都合よく変更しません。

計器が変わると、確認点も変わる。

計器代表的な確認注意する範囲
テスター・電圧計AC/DC、使用レンジ、複数の測定点、周波数ゼロ点だけで全レンジを保証しない
クランプ電流計標準電流、導体位置、閉口、波形、周波数多巻き法はアンペアターンと配置の手順を確認
絶縁抵抗計既知の高抵抗に対する指示、必要に応じ出力電圧・測定電流の確認抵抗器の耐電圧・電力・表面漏れが重要。普通の抵抗器で代用しない
低抵抗計標準低抵抗、4端子接続、電流と熱起電力への対処リード込みの2端子値と混ぜない
接地抵抗計指定の標準抵抗・模擬回路と端子条件現場の接地極を測ることと計器の校正は別
盤面電流計・電圧計入力に対する表示、CT/VT比や設定、実使用目盛二次注入だけではCT/VT一次側までの総合誤差を検証したことにならない
電力計・力率計・試験器電圧・電流・位相・周波数や出力/表示の項目を選定単一の電圧点が良好でも全機能は未確認

「比較できる状態」を作ってから測る。

  1. 必要な校正範囲を決める型式・製番、実際に使う量・レンジ・周波数・測定点、社内要求を列挙する。
  2. 標準器と方法を確認標準器の証明書、範囲、不確かさ、校正状態、接続治具の適合を確認する。
  3. 環境・外観・準備温湿度、ウォームアップ、電池、端子、リード、汚れを指定に従って確認する。
  4. 調整前の値を残すas-found(受入状態)として指示と参照値を記録。過去の測定への影響を評価できるようにする。
  5. 必要な点を比較使用レンジの複数点など、定めた点を測る。反復、上昇/下降、周波数条件は採用手順に従う。
  6. 調整するなら別工程承認された方法と担当者で実施。調整後は再校正し、前後の記録を分ける。
  7. 評価して運用へ戻す誤差、不確かさ、合意した判定ルール、使用範囲、次回の管理を確認。不適合なら過去データへの影響も調べる。

現場で迷いやすいところ。

毎年1回なら、どんな計器でも十分?

一律には決まりません。メーカーの推奨、使用頻度、環境、前回からの変化、落下・過入力、業務上の要求で決めます。HIOKIも校正は校正日時点の結果であり、周期は使用状況に応じて利用者が判断すると説明しています。

校正証明書・成績表・体系図は同じ?

証明書は校正実施と対象等の情報、成績表は測定項目・点・結果、体系図は標準へのつながりを示す資料です。書類の構成や名称は発行者によります。必要な測定点が成績表に載るかを依頼時に確認します。

JCSS付きなら何でも校正できる?

JCSSは計量法に基づくトレーサビリティ制度です。事業者が登録・認定されていても、量・範囲・条件ごとの業務範囲があります。今回の計器の測定項目がその範囲に入るか確認します。

盤の電流計を試験するときの範囲

CT二次側を通電中に開放しないこと、VT二次側を短絡しないことは、計器試験でも変わりません。ここでは活線状態の端子操作を案内しません。隔離と専用試験端子の扱いは、設備の回路図と承認済み手順を用います。計器単体の校正と、変成器・配線を含む系統全体の検証を分けて記録します。

後から追える校正記録。

計器型式・製造番号・管理番号:____ 校正日・担当:____

標準器・製番・証明書番号・使用した補正:____

温湿度・ウォームアップ・方法/版:____

測定量・レンジ・周波数・測定点:____

参照値:____ 指示値:____ 誤差:____ 単位:____

不確かさ・包含係数等:____ 判定ルール・基準:____

調整前/後:____ 使用可否・制限・次回管理:____

根拠を読む

式と数値例は本ページの学習用です。実機の許容値、校正点、判定ルールはメーカー仕様と業務要求で確定します。

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