VT・LA内蔵PASの中を、
3Dで見る
柱の上のPASの中で、主接点・ZCT・VT・LAはどうつながっているのか。360°回せるモデルで、入・切と耐圧試験のつなぎ方を切り替えて、試験電圧と電流がどこへ届くかを確かめます。
原理を理解するための教材見本は戸上電機の「VT・LA内蔵GR付PAS」(KLT-P(S)A-(D2)N11LT ほか)です。定格・接続関係・注意事項は公開資料によりますが、PASの中の構造図は公開されていないため、部品の形と配置は推定です。VTはU–W間としています。利用者が分解したPASの写真(VTの一次2本が、3本並んだ相の両端につながっている)と、戸上電機の外形図の注記によります(外形図の画像はこちらでは読めず、文字は未照合)。実際の試験は対象機種の取扱説明書・社内手順・作業責任者の指示に従います。
3Dモデル
参考型式:戸上電機 KLT-PA-D2N11LT(VT・LA内蔵GR付PAS)。「外観」「内部」「動作」「結線」で切り替えます。部品をタップすると、名前・役割・つながる相手と、資料で確かめた範囲が出ます。
「動作」の場面は、柱の上でPASと立上りケーブルのあいだにVCTが付く設備の竣工検査(VCTはまだ付いていない)。柱の上の4口クリップでPASのU・V・Wとケーブル1心をつかみ、キュービクル側の4口クリップで3心を三線短絡して試験器をつなぐ形です(短絡クリップの9点の日誌)。黄色い粒は充電電流の通り道(往路と帰路)のイメージで、大きさは表していません。数値はVT内蔵PAS 耐圧試験シミュレーターで確かめます。
部品と、資料で確かめられた範囲
| 部品 | はたらき | 資料 |
|---|---|---|
| VT | 負荷側に内蔵。6,600/105V・25VA・耐電圧22/60kV。SOG制御装置の電源(P1・P2)。 | 公開資料 U–W間は実機写真と外形図の注記 |
| LA | 負荷側に内蔵。定格8.4kV・公称放電電流2,500A・AC放電開始17kV以上(波高値)・制限電圧36kV以下・ZnO素子ギャップレス。 | 公開資料 つなぎ方は推定 |
| ZCT | 3相の導体をまとめて通し、零相電流を検出してSOG制御装置へ送る(Z1・Z2)。 | 接続図に記号 位置は推定 |
| 主接点・消弧室 | 3相を同時に開閉。消弧媒体は気中(表示「A」)。 | 形・配置は推定 |
| 操作機構 | ハンドルで入・切。SOGの信号でトリップコイルが働いて開く。過電流ロック付き。 | 内部の形は推定 |
| 外箱・接地 | 必ずA種接地。LA内蔵形は接地しないと雷から守れない。Z2端子は開閉器の中で外箱につながる。 | 公開資料 |
| 制御線 | 方向性11心(Z1・Z2・Y1の3心シールド)。Vc端子は緑色だが接地箇所ではなく、アースにつなぐとVTが焼損する。 | 公開資料 |
耐圧試験のきまり(VT・LA内蔵PAS)
- 3相一括で行う。PASのU・V・Wは柱の上で必ず全部つかむ。VTは負荷側の2相の間(このモデルではU–W)につながっているので、UかWをつかみ忘れると、その相を充電する電流が全部VTの巻線を通り、VTが焼損するおそれがあります。どの2相かは機種で異なるので、機種を問わず全部つかみます。ケーブルは芯線という太い道で下の三線短絡とつながるので、上端をつかまなくても同じ電位になります。
- LAは内蔵されていて切り離せない。交流10,350Vの3相一括はかけられますが、戸上電機はAC12kV以上・DC17kV以上をかけないよう示しています。日本高圧電気も、LA内蔵形では直流耐電圧試験(DC20,700V)を行わないとしています。
- 制御線の処置は取扱説明書に従う。日本高圧電気の例では、全ての制御線を外して端末を一括接地します。SOG制御装置の端子間で絶縁抵抗測定や耐電圧試験は行いません(戸上電機)。
- PASの入・切も取扱説明書と責任者に確認する。日本高圧電気の取説は、ケーブルを含む試験で「切」を指定しています。「入」にすると、可動接点を通って電源側リード(と、その先につながる電線)まで充電され、対地静電容量が増えた分だけ充電電流も増えます。引込線から確実に切り離されていることが前提です。
- 充電電流を計算値と比べる。一部に電圧がかかっていない(クリップが外れているなど)と、充電電流が計算値より小さくなります。
- VT内蔵形・VT・LA内蔵形では、制御線をつないだまま P1・P2 に別の電源(AC100/110V)をかけない。VTを通して主回路側に高電圧が出て、感電やVT焼損のおそれがあります(戸上電機)。
VTの両端を同じ電位にする(3相一括)、LAに直流をかけない。VT・LA内蔵PASの耐圧試験は、この2つが軸。
確かめたこと
- 戸上電機の製品ページで、VT・LAが開閉器の負荷側に内蔵されていること、VTとLAの定格、Z2端子が外箱に接続されていること、Vc端子を接地しないことを確認しました。
- 戸上電機の取扱説明書で、簡易接続図にVT・LA・ZCT・TCの記号があること、P2を接地相側に接続すること、LA内蔵形の接地が必須であること、P1・P2に別電源をかけないことを確認しました。展開接続図と内部構造図は掲載されていません。
- LA内蔵形で直流試験をしない点、制御線を外して一括接地する点は、日本高圧電気の取扱説明書(このサイトのPAS耐圧シミュレーターの根拠資料で確認済み)によります。AC12kV・DC17kVの制限は、同じページで確認した戸上電機の資料によります。
- 確かめられなかったこと:部品の形・配置・寸法、LAのつなぎ方(各相と大地の間とした)、ZCTの位置。VTのU–W間は、実機の分解写真と戸上電機の外形図の注記によりますが、外形図の文字はこちらで読めていません。モデルのこれらの部分は推定です。
出典:戸上電機 VT・LA内蔵GR付PAS、戸上電機 取扱説明書(GR付PAS)、戸上電機 取扱説明書(LA内蔵形)、日本高圧電気 取説-PAS-07(2026年10月26日閲覧。日本高圧電気の取説は既存ページでの確認内容による)