1今回の「なんで?」
容量だけを見ると動力の150kVAの方が大きい。それなのに、実物では電灯側のB種接地線が太く見え、動力側は「IV 22mm²」と読める。なぜ?
💡 電灯変圧器
単相 100kVA
一次 6600V
二次 210/105V
銘板二次電流 476A
容量表:38mm²
⚙️ 動力変圧器
三相 150kVA
一次 6600V
二次 210V
銘板二次電流 412A
容量表:22mm²
2二次定格電流はどう求める?
単相
電灯変圧器は100kVA、210/105V。単相3線式の全巻線210Vで計算すると、
銘板の476Aと一致する。
三相
動力変圧器は150kVA、210Vなので、
銘板の412Aと一致する。
3B種接地線は「変圧器1相分の容量」で見る
国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」2.13.9では、B種接地工事の接地線を表2.13.1から選ぶ。備考では、三相変圧器は定格容量の1/3、単相3線式は200V級を適用するとされている。
| 100V級 | 200V級 | 400V級 | 接地線(銅) |
|---|---|---|---|
| 5kVA以下 | 10kVA以下 | 20kVA以下 | 5.5mm²以上 |
| 10kVA以下 | 20kVA以下 | 40kVA以下 | 8mm²以上 |
| 20kVA以下 | 40kVA以下 | 75kVA以下 | 14mm²以上 |
| 40kVA以下 | 75kVA以下 | 150kVA以下 | 22mm²以上 |
| 60kVA以下 | 125kVA以下 | 250kVA以下 | 38mm²以上 |
| 100kVA以下 | 200kVA以下 | 400kVA以下 | 60mm²以上 |
| 175kVA以下 | 350kVA以下 | 700kVA以下 | 100mm²以上 |
| 250kVA以下 | 500kVA以下 | 1,000kVA以下 | 150mm²以上 |
電灯100kVA
動力150kVA
※この国交省仕様は公共建築工事の標準仕様。すべての民間設備へ自動的に同一条件で適用される法令表という意味ではない。実設備では設計図書、適用規程、社内基準を確認する。
4ここが大事:容量表だけで終わらない場合がある
同じ国交省令和7年版では、表2.13.1で選んだB種接地線が、変圧器低圧側を保護する配線用遮断器等から表2.13.2で選ぶ接地線より細い場合、表2.13.2の太さを採用するとされている。
| 低圧側遮断器等の定格電流 | 表2.13.2の接地線 |
|---|---|
| 30A以下 | 直径1.6mm以上* |
| 30A超〜60A以下 | 直径2.0mm以上* |
| 60A超〜100A以下 | 5.5mm²以上* |
| 100A超〜150A以下 | 8mm²以上 |
| 150A超〜250A以下 | 14mm²以上 |
| 250A超〜400A以下 | 22mm²以上 |
| 400A超〜600A以下 | 38mm²以上 |
| 600A超〜1,000A以下 | 60mm²以上 |
表2.13.2の全区分を掲載。「直径mm」と「断面積mm²」は別の量です。*雷保護設備で内部雷保護の等電位ボンディングを行う場合は8mm²以上とし、適用は特記によります。B種は、この表の値だけで決めず、表2.13.1との太い側を比較します。
設備は2005年製なので、施工当時の適用基準・設計条件が現在と同じとも限らない。現場で最終判断するなら、低圧主遮断器の定格、竣工図・接地系統図、適用仕様まで確認する。
5では「0.052 × I」は何?
ただし、B種接地線について「何のIを入れるか」「表との関係」は、適用する規程本文で確認する必要がある。
今回、公開されている現行の一次資料として確認できた国交省令和7年版は、B種について変圧器1相分容量の表で選ぶ形を明記している。一方、0.052式の最新版「内線規程」本文上の詳細な適用条件は、公開一次資料では確認できていない。
6計算して確かめる
変圧器容量と二次電圧を入れると、二次定格電流と「1相分容量」を表示する。B種接地線は国交省令和7年版の表2.13.1と、任意入力の低圧側遮断器等に基づく表2.13.2を比較します。
電圧級は自動分類しません。単相3線式100/200V(銘板105/210V等)は、この表では200V級を適用します。単相は全巻線電圧、三相は線間電圧を入力し、相数・電圧・電圧級を変えたら再確認してください。
7現場での整理
電灯:単相100kVA・210/105V → 二次476A。表2.13.1ではB種38mm²。
動力:三相150kVA・210V → 二次412A。1相分50kVA → 表2.13.1ではB種22mm²。ただし低圧側遮断器との比較が必要。
覚えるべきポイント
二次定格電流は「単相 S/V、三相 S/(√3V)」。B種容量表は「変圧器1相分容量」。三相は容量÷3、単相3線式は200V級。
現場で確認するもの
相数、kVA、二次電圧、銘板二次定格電流、B種接地線表示、低圧側主遮断器の定格、竣工図・接地系統図、施工当時と現在の適用基準。
間違えやすい点
「150kVAの方が大きいから接地線も太い」と総容量だけで判断すること。0.052×銘板線電流を、B種容量表と完全に同じ方法だと考えること。
不確かな点
電灯側の線サイズ表示は写真で明瞭に読めない。0.052式の最新版内線規程本文上の詳細条件は公開一次資料で未確認。動力側22mm²の現在基準での最終判定には低圧側遮断器定格が必要。
根拠資料
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」案内ページ — 2025年5月12日改定。
- 同 PDF — 2.13.9 接地線、表2.13.1・表2.13.2を確認。
本文・表の再確認日:2026年10月9日。メーカー仕様・設計仕様・社内基準が別途ある場合は、それらを優先して照合する。