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EARTH TESTER / ET-5

ET-5は
何を測っている?

ET-5は交流電位差計方式。3極法ではE-C間に試験電流を流し、E-P間の電圧降下を見ることで、被測定接地極Eの接地抵抗を求めます。

安全上の前提:ET-5は接地抵抗測定時に高い交流試験電圧を発生する機種です。ここは原理教材であり、現場操作を促す手順書ではありません。責任者・操作票・社内手順により、系統状態・接地線切離しの可否・接続・地電圧・保護具を先に確認します。交流電圧レンジでPUSHを押してはいけません。30V以上の地電圧ではERレンジへ切り替えないというメーカーの禁止条件を確認してください。
結局、何の抵抗?

接地極から、大地へ電流が広がるときの抵抗。

金属のアース棒だけの抵抗ではありません。接地極と周囲の土を含む経路を見ています。電流を流したときに接地極の電位がどれだけ上がるか、その関係から求めます。

電流を流す → 電圧の変化を見る → 抵抗が分かる

同じ電流なら、電圧の上がり方が大きいほど抵抗も大きい。

一般原理:共立電気計器「接地抵抗計ガイドブック」。以下は理解用の図で、現場の接続手順ではありません。

三極法と二極法を、同じ目線で見比べる

線の色は説明用です。実機のコード色を指定するものではありません。交流なので実際の電流方向は交互に変わります。

E・P・Cは、三つの仕事の名前。

E

測られる側

接地抵抗を知りたい接地極。

P

電圧を見る側

大地の電位を参照する補助極。Eとの電位差を検出します。

C

電流を流す相手側

Eと大地を通る試験電流の回路を作る補助極。

三極法の「三つ」は、E・P・Cという電極の役割です。A種・B種・C種・D種という接地工事の区分とは別の話です。

数字を変えると、違いが見える。

対象の接地抵抗を同じにして、相手側だけ変えてみます。理想化した説明用モデルで、実測値や合否判定ではありません。

三極法・配置条件が適切な理想例30 Ω

対象側の抵抗を求める

二極法・独立した接地極の理想例35 Ω

30 + 5 = 35 Ω

相手側の5 Ωも測定値に入ります。

三極法の「電圧÷電流」を数値で見る

例えば、試験電流が10 mA、E–P間の電圧が0.30 Vなら、0.30 ÷ 0.010 = 30 Ωです。この電流は計算用の仮定で、ET-5が常に10 mAを流すという意味ではありません。

コード抵抗・接触抵抗・地電圧などの誤差は、この足し算モデルには含めていません。二つの接地が金属線でつながる場合も、この単純な和は当てはまりません。

なぜ、電圧を見るP極を別にするの?

EからCへ電流を流すと、E付近だけでなくC付近にも電位の変化ができます。E–C全体の電圧を使うと、相手側の影響も含んでしまいます。

そこで、電位の変化が小さい区域をPで参照し、E側の電圧を取り出します。Pは「もう一本の電流用アース」ではなく、電圧を見るための役割です。

Pをどこに置いても同じ?/距離を離す理由

同じにはなりません。EやCのすぐ近くでは、それぞれの電位分布の影響を受けます。広い接地網や埋設金属、土壌によっても分布が変わります。「真ん中なら必ず正しい」「一定距離ならすべての設備で十分」とは言えません。

一般原理では、P位置を変えたときに測定値がほぼ一定となる区域の確認が重要です。対象設備の規模とメーカー手順に合わせて判断します。

HIOKI FT6041取扱説明書・7.4「3電極法で測定するときのポイント」(配置の一般原理を参照。ET-5の仕様として転用しません。)

ET-5の針が「0」でも、接地抵抗は0 Ωではない。

針は、測定した電圧と内部の比較電圧の差を示します。釣り合ったときに、抵抗値を読むのはダイヤルの目盛です。

接地側で生じる電圧=内部で作る比較電圧

天びんが水平になった状態に似ています。
水平=重さゼロではなく、両側が釣り合ったという意味です。

内部ではどうやって抵抗の目盛に変えている?
  1. 電池の直流から交流を作り、接地側へ試験電流を流します。
  2. 内部のCTで、その試験電流に比例する電流を取り出します。
  3. ダイヤルに連動する抵抗で比較電圧を作ります。
  4. 接地側の電圧と一致すれば、内部抵抗の位置から接地抵抗が分かります。

両方の電圧が同じ試験電流に比例するため、釣り合いの式では電流が消え、抵抗どうしの対応が残ります。単に電圧計の針をΩに読み替えているわけではありません。

ET-5 第14版・本文33ページ(PDF41ページ)の交流電位差計方式を独自に図解・要約。

ET-5固有の範囲と、よくある取り違え
取扱説明書に基づく訂正

交流電圧レンジではPUSHを押さない

ET-5の交流電圧測定レンジ(AC300V・150V・15V)では、PUSHボタンを押さないでください。
取扱説明書は、内部回路を破損するおそれがあるため、この操作を禁止しています。

交流電圧測定の指針や黒帯を、補助極の良否判定へ読み替える根拠は確認できません。「右へ振れるほど補助極が良い」という判断には使用しないでください。

補助接地極・測定コードの確認と接地抵抗測定は、ET-5取扱説明書の該当手順に従います。地電圧の確認と、試験電流を流して接地抵抗を測る操作は区別してください。

根拠:ムサシインテック「ET-5取扱説明書」第14版、2102-000ST004。交流電圧レンジの注意:本文12ページ(PDF20ページ)。交流電圧測定:本文22~23ページ(PDF30~31ページ)。該当資料を開く

このページの訂正履歴(2026-09-11)

旧版には、AC150VレンジでPUSHを押す経験的な操作と、その挙動を説明する推定等価回路を掲載していました。メーカーの禁止事項と矛盾するため撤回しました。旧版の説明を測定手順として使用しないでください。

一次資料

ムサシインテック ET-5 取扱説明書:第14版。本文5~6ページ(測定範囲)、21ページ(二極法の合成抵抗)、33ページ(内部原理)。確認日:2026年9月19日。内部原理のページへ。

ムサシインテック ET-5 製品ページ:現行仕様・特長。